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合同演習


 ドカッ、バキッ、ドスッと洒落にならない音が響く中、ナルトたちはのんびりと昼食を摂っていた。
 昼過ぎの演習場。
 暖かな陽射しと心地良い風が吹き抜ける、絶好のピクニック日和だ。
 もっとも、ナルトたちが演習場にいるのはピクニックではなく、合同演習のためだったのだが。


「よく飽きないってばよ…」
 ナルトが感心したような呆れたようなどっちにもとれる口調で呟いた。
 とっくに昼食は終っている。
「まだまだ続くわよ?」
 隣でテンテンが膝に置いた小さな弁当箱を仕舞いながら呟きに応える。
 ナルトの正面に座っているネジも食後の茶を飲みながら無言で頷いた。
「…いつもこんなんなんですか?」
 なんともいえない顔をしてサクラがそう言うと、リーが困ったような顔で頷く。
 ガイの部下になって1年と少し、ガイとカカシの対決は否応なく慣れさせられてしまっていた。
「信じられないってば……」
「ウスラトンカチが……」
 ナルトとサスケの言葉に曖昧に笑うテンテンとリー、無言で眉を潜めるネジの顔には諦観と呼べるだろう表情が張り付いていた。
「いいかげんにしてほしいわ、ホント」
 ぼそりと零したのはサクラ。
 その顔は何も知らない子供が見たならその夜は悪夢を見れそうな鬼の顔だった。
 視線の先には相変わらず真剣格闘をする上忍ふたり。
 カカシは案の定3時間の遅刻した上に集合場所が違うと宣い、義憤に駆られたガイの問答無用の真剣勝負になだれ込み、昼を軽く過ぎた今になっても終る気配がみじんも感じられなかった。
 ガイから合同任務ではなく久しぶりの演習だと聞いて期待していただけに、7班下忍たちの怒りゲージはMAXまで跳ね上がっている。
 カカシを待つ間に軽い運動をしたとは言え、このままではただ昼食を食べただけで一日が終ってしまう。
 昼食を食べ終り、胃もこなれてきた。
「……オレたちもやるってば?」
 慣れた口調でサクラにお伺いを立てたのはナルト。
 ほんのりと背後のチャクラが怒りに燃えている。
「時間の無駄だしな」
 きっぱりと言い切ったサスケ。
 滅多に笑わない顔に満面の笑みが浮かんでいた。
 3人はすっくと立ち上がり、それぞれ手に自分の得物を用意する。
「え、ちょっと…」
 テンテンが慌てて止めようとするのを、ネジが制止した。
「俺たちも参加するぞ。こんな経験はそうそうできないからな」
 そう言ったネジはすでに白眼を発動済み。
「そうですね、担当以外の上忍を相手にする機会なんて滅多に有りませんね」
 ニコニコと笑顔で言うリーは、両手両足につけた重りをすべて取り外した。
「ターゲットはカカシ」
「邪魔するなら、ガイせんせーも容赦しないってばよ?」
 サスケとナルトが無気味な笑いを浮かべて頷きあっている。
「いい、せーのでかかるわよ?」
 サクラがふふふと笑ってクナイに起爆符を付ける。
「ちょ、ちょっと……」
 なんとか制止しようとするテンテンの声を無視して、サクラがカウントをとる。
「……3……2……1……GO!」
 サクラの声に反応して、5つの影が飛び出した。
「死ね、腐れ上忍!」
「いいかげんにしろってばよ!!」
「上忍失格!!」
「上忍が聞いて呆れる」
「大人なら常識をわきまえてください」
 怒りゲージMAXの7班3人がカカシに武器を投げ付け、その隙をついてネジとリーが肉弾戦を仕掛ける。
 こうしてカカシのセカンドステージ、対下忍戦の幕が切って落とされた。


「テンテン、一体どういうことだ?」
 いきなり乱入されて蚊屋の外に放り出されたもうひとりの上忍、ガイが唯一参加していない自分の部下に声をかけた。
「我慢できなかったのは、ガイ先生だけじゃないってことみたいです」
 盛大な溜め息をついて、テンテンはクナイを両手に持つ。
「お、おい、何を……」
「こうなったら、私も参加します。先生、危なくなったら止めに入ってくださいね」
 にっこりと笑って、テンテンは駆け出す。
「そうだな、がんばってこい」
 キラリと歯を光らせ、ガイはサムズアップで部下を送りだした。


 その日の午後、里には某コピー忍者の悲鳴が響き渡ったという。



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